一般財団法人日本デジタル道路地図協会は、昭和63年の設立以来30年以上にわたって、全国の主要な道路の位置、接続の状況、基本属性を収集し、全国デジタル道路地図データベース(DRMデータベース)として官民協力の下で整備を進めてきました。このDRMデータベースは、もともとはカーナビゲーションにおける基礎データの収集を目的として整備を開始したもので、そのための仕様もISO/TC204のような国際標準を議論する場にも情報提供可能なレベルのドキュメントを専門家の意見を踏まえて制定しており、カーナビゲーション以外の分野でも使いやすいデータベースとして運用を続けています。
道路が国家の重要なインフラであることは論を待たないところですが、道路の形状や属性を正しくモデル化し簡潔に表現したデータベースとして利用に供することは、ICT時代における道路利用のあり方を自然に拡張する手段として極めて重要です。これまで、自動運転システム技術の開発進捗を背景に、CASEやMaaSのように道路を走る自動車も交えた新しい技術コンセプトが総合的に提唱されてきていますが、さらにデジタル社会形成基本法の制定、デジタル庁の発足などと歩調を合わせて、国土交通省でもxROADと銘打った道路DX推進を政策として打ち出しています。DRMデータベースは、xROAD構想においても、カーナビゲーションにとどまらず、道路管理をはじめとする道路を扱うすべてのサービスにおけるプラットフォームとしての役割も新たに位置づけられています。
このように社会的重要性の高いDRMデータベースを着実に維持更新し、その内容を一層充実させるとともに、xROADを下支えできるようなニーズにも的確に応えていく所存ですので、皆さまのご支援を心からお願い申し上げます。
一般財団法人日本デジタル道路地図協会 理事長 鎌田高造